はじめに
「最近抜け毛が増えた気がする」「生え際が後退してきた気がする」と感じている方の中には**AGA(男性型脱毛症)**が関係している可能性があります。
今回はAGAとは何か・原因・発症のメカニズムをわかりやすく解説します。
AGAとは何か
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれます。成人男性に多く見られる進行性の脱毛症です。
AGAの特徴は以下の通りです。
- 前頭部(生え際)や頭頂部から薄くなっていく
- 急激に抜けるのではなく徐々に進行する
- 放置すると進行し続ける
- 適切な治療で進行を抑えることができる
日本人男性の約3人に1人がAGAとされており、決して珍しい症状ではありません。一般的には30〜50代の中年男性に多く見られますが、近年では20代での発症も増えています。
AGAの発症率
AGAの発症率は20歳代で約10%・30歳代で約20%・40歳代で30%・50代では40%以上と年齢とともに高くなる傾向にあります。 Maria-clinic
また最新の調査では30〜59歳の男性の42.3%がAGAを発症しているというデータもあり、以前のデータと比べて30代・40代での発症率が増加しています。
AGAの主な原因
AGAの原因は主に以下の3つです。
①男性ホルモン(最大の原因)
AGAの最大の原因は男性ホルモンの影響です。男性ホルモンの一種であるテストステロンが体内の酵素と結合することで、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されます。
②遺伝
AGAには遺伝が強く関与しています。親族に薄毛の方がいる場合はAGAを発症しやすい傾向があります。母方の家系から受け継ぐケースが多いとされています。
③生活習慣の乱れ
睡眠不足・過度な飲酒・喫煙・ストレス・偏った食生活などの生活習慣の乱れもAGAの進行に影響を与えるとされています。
AGAが発症するメカニズム
AGAが発症する仕組みをステップごとに解説します。
ステップ①:DHTが生成される
男性ホルモンのテストステロンが頭皮に存在する5αリダクターゼという酵素と結合することで、強力な男性ホルモンである**DHT(ジヒドロテストステロン)**が生成されます。
5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があります。AGAに特に関係が深いのはII型で、生え際・前頭部・頭頂部に多く分布しているため、これらの部位からAGAが発症しやすくなります。
ステップ②:DHTが毛乳頭に作用する
生成されたDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合します。DHTが結合した毛乳頭細胞は髪の成長を止める因子を作り出し、髪の成長を阻害します。
ステップ③:ヘアサイクルが乱れる
DHTの影響を受けることで、正常であれば2〜6年ある髪の成長期が数ヶ月〜1年未満に短縮されます。十分に成長できないまま退行期・休止期へと移行するため、細く短い毛のまま抜け落ちてしまいます。
ステップ④:薄毛が進行する
ヘアサイクルの乱れが繰り返されることで、毛が細くなり本数が減少していきます。放置すると毛根が活動を停止してしまうため、早期治療が重要です。
正常なヘアサイクルとAGAのヘアサイクルの違い
| 状態 | 成長期の長さ | 特徴 |
|---|---|---|
| 正常 | 2〜6年 | 太く長い髪が育つ |
| AGA発症時 | 数ヶ月〜1年未満 | 細く短いまま抜け落ちる |
なぜ生え際・頭頂部から薄くなるのか
AGAが生え際・前頭部・頭頂部から薄くなる理由は、これらの部位に5αリダクターゼII型と男性ホルモン受容体が多く分布しているためです。
一方で後頭部・側頭部にはI型が多く分布しているため、DHTの影響を受けにくくAGAが発症しにくい部位となっています。
AGAと一般的な抜け毛の違い
AGAは一般的な抜け毛と異なる特徴があります。
| 項目 | AGA | 一般的な抜け毛 |
|---|---|---|
| 原因 | 男性ホルモン・遺伝 | ストレス・栄養不足など |
| 進行 | 放置すると進行し続ける | 原因が改善されれば回復する場合がある |
| 部位 | 生え際・頭頂部から薄くなる | 全体的に抜けることが多い |
| 治療 | 薬による治療が有効 | 生活習慣の改善で回復する場合がある |
急激に抜け毛が増えた場合や全体的に抜ける場合は円形脱毛症や他の疾患の可能性もあるため、皮膚科専門医への受診をおすすめします。
AGAは早期治療が重要
AGAは放置すると進行し続けます。毛根が活動している段階で治療を開始することが重要です。
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの3つがAGA治療薬として**推奨度A(強く推奨)**と評価されています。
AGAが気になる方はまず皮膚科やAGAクリニックで診察を受けてみてください。なお本記事の情報は調査に基づくものです。実際の治療については必ず医師に相談してください。
まとめ
AGAの原因と仕組みをまとめるとこうなります。
- AGAとは男性ホルモンの影響で発症する進行性の脱毛症
- 日本人男性の約3人に1人が発症している
- 最大の原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という物質
- DHTがヘアサイクルを乱し成長期を短縮させることで薄毛が進行する
- 遺伝・生活習慣の乱れも発症に影響する
- 生え際・頭頂部から薄くなるのはII型の5αリダクターゼが多く分布しているため
- 早期治療が進行を抑えるために重要
参考サイト
公的機関・製薬会社
- 大正製薬「男性の薄毛・抜け毛(AGA/男性型脱毛症)」
https://www.taisho-kenko.com/disease/636/
学術・ガイドライン
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf
医療クリニック
- 浜松町第一クリニック「AGAとは?男性型脱毛症の原因・症状・治療法を医師が解説」 https://www.hama1-cl.jp/about_aga/
