はじめに
ICLは近視・乱視の矯正手術として注目されていますが、誰でも受けられる手術ではありません。適応検査の結果、基準を満たさず「適応外」と判定されるケースも一定数あります。
この記事では、ICLが適応外だった場合に検討できる選択肢について整理します。適応検査の内容そのものは「ICLの適応検査とは?」で解説しているので、まだ読んでいない方はあわせて確認してみてください。
ICLが適応外と判定される主な理由
ICLの適応検査では、角膜内皮細胞数、前房深度(角膜から水晶体までの距離)、瞳孔径、屈折度数の範囲など、複数の項目が確認されます。これらの数値が基準を満たさない場合、安全性の観点からICLが見送られることがあります。
また、極端な強度近視や、目の他の疾患がある場合も、適応外と判断される要因になりえます。「なぜ自分が適応外なのか」は、検査結果をもとに担当医から具体的な説明を受けることが大切です。
適応外になりやすい人の傾向
すべての人に当てはまるわけではありませんが、一般的には角膜内皮細胞数が加齢や過去の目の疾患によって減少している人や、前房が生まれつき浅い人などで、適応外と判定されやすい傾向があるとされています。また、極端に強い近視・乱視の度数の場合、レンズの対応範囲を超えてしまうケースもあります。
年齢を重ねるほど角膜内皮細胞は自然に減少していく傾向があるため、「若いうちは適応内だったが、年齢を重ねてから検査したら適応外だった」というケースも考えられます。検討しているのであれば、早めに一度適応検査を受けてみることをおすすめします。
選択肢①:レーシック
レーシックは、角膜を削って屈折率を調整する手術で、ICLとは異なるアプローチで近視・乱視を矯正します。ICLとレーシックの違いについては「ICLとレーシックどちらがいい?」でも比較していますが、角膜の厚みなどICLとは異なる基準で適応が判断されるため、ICLが適応外でもレーシックなら受けられるケースがあります。
ただし、レーシックにも角膜の厚み等の適応条件があるため、こちらも別途検査が必要になります。
選択肢②:PRK(表面照射型レーザー角膜手術)
PRKは、レーシックと同じくレーザーで角膜を削る手術ですが、角膜の表面を薄く削るタイプの手術で、角膜が薄い人でも選択肢に入ることがあります。レーシックが角膜の厚みの関係で適応外だった場合に、PRKであれば適応となるケースもあるようです。
回復期間や術後の痛みの感じ方など、レーシックとは異なる特徴があるため、検討する場合は医師から詳しい説明を受けることをおすすめします。
選択肢③:眼鏡・コンタクトレンズ
手術という選択肢を取らず、眼鏡やコンタクトレンズで矯正を続けるという道もあります。手術に不安がある人や、適応検査の結果どの術式も難しいと判断された人にとっては、引き続き眼鏡・コンタクトで生活するのも現実的な選択肢です。
近年は眼鏡・コンタクトレンズの性能も向上しているため、「手術をしない=我慢する」というわけではなく、自分に合った矯正方法を選ぶという前向きな選択として捉えることもできます。
選択肢④:オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、特殊なコンタクトレンズを夜間装用することで角膜の形状を一時的に矯正し、日中は裸眼に近い状態で過ごせるようにする方法です。手術を伴わないため、体への負担という意味ではハードルが低い選択肢と言えます。
ただし、効果は一時的なもので、装用をやめると徐々に元の状態に戻っていくため、継続的な使用が前提になります。手術に抵抗がある人や、まずは非手術的な方法を試してみたい人にとっては検討の価値がある選択肢です。
各選択肢の比較整理
ここまでの内容を整理すると、次のようになります。
| 選択肢 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| レーシック | 角膜を削って矯正、回復が比較的早い | 角膜の厚みが十分にある人 |
| PRK | 角膜表面を薄く削る、角膜が薄めでも対象になりうる | レーシックが角膜の厚みでNGだった人 |
| オルソケラトロジー | 夜間装用のレンズで角膜形状を一時的に矯正 | 非手術的な方法から試したい人 |
| 眼鏡・コンタクト | 手術をせず矯正を続ける | 手術に慎重になりたい人 |
どの選択肢が向いているかは、目の状態や生活スタイルによって異なります。表はあくまで一般的な傾向であり、最終判断は必ず眼科医との相談のうえで行ってください。
レーシックとPRK、どちらを選ぶべきか迷ったら
レーシックとPRKのどちらも選択肢に入る場合、判断材料になるのは主に角膜の厚み・回復期間・術後の見え方の安定までの早さです。レーシックは比較的回復が早く、翌日から普段の生活に戻れるケースが多い一方、PRKは術後の痛みや見え方が安定するまでにやや時間がかかる傾向があるとされています。
どちらが向いているかは、角膜の状態だけでなく、仕事のスケジュールや術後にどれだけ安静にできる環境があるかによっても変わってきます。「早く仕事に復帰したいのでレーシックが良い」「角膜が薄いのでPRKを選ぶしかない」など、状況に応じて医師と相談しながら決めていくことになります。
複数のクリニックで検査を受ける意味
ICLが適応外と判定された場合でも、クリニックによって使用する検査機器や判断基準に多少の違いがあるため、別のクリニックで再度検査を受けると評価が変わることもあるようです。1つのクリニックの結果だけで諦めず、セカンドオピニオンとして別の医療機関で相談してみるのも一つの方法です。
執刀医やクリニックの選び方については「ICL執刀医の選び方」でも解説しているので、参考にしてみてください。
費用面から見た選択肢の違い
レーシックやPRKは、ICLとは費用相場が異なります。一般的にはICLよりも費用を抑えられるケースが多いとされていますが、クリニックやレンズ・機器の種類によって幅があります。ICLの費用相場については「ICL手術の費用相場と医療費控除を徹底解説」で解説しているので、他の選択肢を検討する際の比較材料として活用してください。
費用だけで選択肢を決めるのではなく、自分の目の状態に合っているかどうかを優先して判断することが大切です。
適応外と言われてもすぐに諦めなくていい理由
「ICLが受けられない」と分かると、視力矯正そのものを諦めてしまう人もいるかもしれません。しかし、レーシックやPRKなど他の術式が選択肢に入ることは珍しくなく、ICL以外にも視力矯正の方法は複数存在します。
ICLのデメリットやリスクについては「ICLのデメリットと後悔しないための注意点」でも触れていますが、そもそも術式ごとに一長一短があるため、ICLが適応外だったことを過度にネガティブに捉える必要はありません。
これから検査を受ける人へのアドバイス
これから適応検査を受ける方には、「ICLが受けられなかった場合、次にどうするか」もあらかじめ考えておくことをおすすめします。事前に代替の選択肢を知っておくことで、仮に適応外と言われても落ち着いて次のステップに進みやすくなります。
検査結果を受けて分からないことがあれば、その場で医師に質問し、納得したうえで次の選択肢を検討するようにしてください。「なんとなく諦める」のではなく、選択肢を1つずつ潰していくくらいの気持ちで臨むと、後悔の少ない決断につながりやすいと思います。
まとめ
ICLは優れた選択肢の一つですが、すべての人が受けられるわけではありません。適応外と判定された場合も、レーシック・PRK・眼鏡やコンタクトレンズなど、複数の選択肢が存在します。
それぞれの特徴を理解したうえで、自分の目の状態やライフスタイルに合った方法を、医師とよく相談しながら選んでいただければと思います。「ICLがダメだったら終わり」ではなく、視力矯正には複数の道が用意されているという事実を、ぜひ前向きな判断材料にしてください。
参考サイト
公的機関・学会の情報
- 日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン」第8版
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=700&dispmid=909 - JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)「有水晶体眼内レンズ情報FAQ」
http://jscrs-icl.org/contents/faq.html - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医療機器情報検索」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch/
