はじめに
ICL手術の費用について調べると、多くの場合「医療費控除の対象になる」という情報にたどり着きます。実際、医療費控除については「ICL手術の費用相場と医療費控除を徹底解説」でも解説しました。
一方で、加入している生命保険・医療保険の「手術給付金」がICL手術に適用される場合があることは、意外と知られていません。この記事では、医療費控除とは別の制度である手術給付金について、ICLとの関係を整理します。
医療費控除のおさらい
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって税金の一部が還付される制度です。国税庁の見解では、視力回復を目的とした手術は医療費控除の対象になるとされており、ICLもこれに該当するとされています。詳しい仕組みは「ICL手術の費用相場と医療費控除を徹底解説」を参考にしてください。
この記事で扱う「手術給付金」は、これとはまったく別の制度です。医療費控除は国の税制、手術給付金は個々の保険契約に基づく給付という違いがあるため、混同しないよう、まずこの違いを押さえておきましょう。
そもそもなぜICLは公的医療保険の対象外なのか
ICLをはじめとする屈折矯正手術は、近視や乱視という「病気の治療」というより「見え方の質を高める手術」という位置づけのため、日本の公的医療保険(健康保険)の適用対象にはなっていません。手術そのものの仕組みは「ICL手術とは?費用・流れ・リスクをわかりやすく解説」で解説しています。
公的医療保険の対象外であることと、民間の生命保険・医療保険の給付対象になるかどうかは、別々の判断基準で決まります。この違いを理解しておくと、次に説明する手術給付金の位置づけが分かりやすくなります。
生命保険の「手術給付金」とは何か
手術給付金とは、生命保険・医療保険の契約者が約款に定められた手術を受けた際に、保険会社から支払われる給付金です。公益財団法人 生命保険文化センターの解説によれば、給付の対象になるのは治療を直接の目的として、約款に記載されている手術を受けた場合とされています。
どの手術が対象になるかは、契約している保険会社・商品・契約時期によって異なります。近年は公的医療保険の対象手術を給付対象とするタイプが増えている一方、美容目的や治療を目的としない手術は対象外とされることが一般的です。
ICLは手術給付金の対象になるのか
結論から言うと、「ICLなら必ず対象になる」とは言い切れません。ICLは公的医療保険の適用対象外の手術であり、契約している保険商品によって、対象手術の一覧(約款)に含まれているかどうかが異なるためです。
実際に、ICLが手術給付金の対象になったという声がある一方、対象外と判断されたケースもあるようです。同じ保険会社でも商品や契約時期によって扱いが異なることもあるため、「うちの保険は対象になるはず」と思い込まず、必ず契約内容を確認することが重要です。
対象になるかどうかを左右するポイント
手術給付金の対象可否に影響する主な要素を整理すると、次のようになります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 保険商品の種類 | 公的医療保険連動型か、独自の手術一覧を持つ商品かで異なる |
| 契約時期 | 同じ保険会社でも、契約時期によって約款の内容が異なる場合がある |
| 手術の目的 | 治療目的か美容・QOL向上目的かで判断が分かれることがある |
| 診断書の記載内容 | 医師の診断書にどう記載されるかも判断材料になりうる |
これらはあくまで一般的な傾向であり、最終的な判断は保険会社が行うため、事前に断定することはできません。
事前に確認しておきたいこと
ICL手術を検討する段階で、次のような点を確認しておくとスムーズです。
- 加入している生命保険・医療保険の保険証券や約款を確認する
- コールセンターや代理店に、ICL手術が手術給付金の対象になるか問い合わせる
- 対象になる場合、必要な書類(診断書・領収書等)を確認する
- クリニックに、保険会社提出用の診断書を発行してもらえるか確認する
手術を受けた後に確認するのではなく、できれば手術前に問い合わせておくことで、必要な書類の準備もスムーズになります。
医療費控除と手術給付金、両方使う場合の注意点
手術給付金を受け取り、かつ医療費控除も申請する場合、医療費控除の計算上は、生命保険等で補填された金額を医療費から差し引く必要があるとされています。つまり、手術費用の総額をそのまま医療費控除の対象にできるわけではなく、給付金として受け取った分は差し引いて計算する必要があります。
この点を見落として申告してしまうと、後から修正が必要になることもあるため、確定申告の際は給付金の受け取り有無・金額を正確に把握し、記録を残しておくことが大切です。
医療保険とがん保険など、保険の種類による違い
一口に「生命保険」と言っても、終身保険・医療保険・がん保険など種類はさまざまで、手術給付金の有無や条件も保険の種類によって大きく異なります。一般的には、医療保険に手術給付金の特約・主契約が付いているケースが多いとされていますが、死亡保障が中心の生命保険では手術給付金自体が付帯していないこともあります。
自分が加入している保険がどのタイプで、手術給付金の保障が含まれているかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。ICL手術後の生活や定期検診については「ICL手術後の生活と注意点」でも解説しています。
保険会社への確認の仕方
保険会社に確認する際は、「ICL手術」という名称だけでなく、「有水晶体眼内レンズ挿入術」という医学的な手術名も併せて伝えると、より正確な回答を得やすくなります。手術を受けるクリニックに、事前に正式な手術名を確認しておくとよいでしょう。
コールセンターでの回答が曖昧な場合は、書面での回答を求める、担当者を変えて複数回確認するなど、納得できるまで確認する姿勢も大切です。
確認を怠るとどうなるか
事前確認をせずに手術を受けた場合、本来受け取れたはずの給付金を申請し忘れてしまう可能性があります。手術給付金には請求期限が設けられていることが一般的なため、「後で確認すればいい」と先延ばしにしていると、期限を過ぎてしまうリスクもあります。
費用面での負担を少しでも軽減したい場合は、医療費控除だけでなく、手術給付金の可能性も含めて早めに情報収集しておくことをおすすめします。手術日が決まった時点で、加入している保険会社に一度連絡を入れておくと、後になって慌てずに済みます。
問い合わせの際は、手術予定日・手術名(有水晶体眼内レンズ挿入術)・医療機関名をメモしておくとスムーズです。
これから手術を検討する人へのアドバイス
これからICL手術を検討する方には、費用面の情報収集を「医療費控除」だけで終わらせないことをおすすめします。加入している保険の内容を見直す良い機会として捉え、手術給付金の対象可否を確認しておくと、想定外の出費の一部をカバーできる可能性があります。
費用相場全体の考え方は「ICL手術の費用相場と医療費控除を徹底解説」も参考にしてください。手術そのものの流れについては「ICL手術とは?費用・流れ・リスクをわかりやすく解説」で解説しています。
まとめ
ICL手術の費用面では医療費控除に注目が集まりがちですが、加入している生命保険・医療保険の手術給付金が対象になる可能性もあります。ただし、対象になるかどうかは契約内容や保険会社の判断によって異なり、一概には言えません。
手術を検討する段階で、保険証券の確認や保険会社への問い合わせを行い、医療費控除と手術給付金の両方の可能性を把握したうえで、資金計画を立てることをおすすめします。「調べてみたら意外と対象だった」というケースもあれば、「期待していたが対象外だった」というケースもあるため、過度に期待しすぎず、あくまで確認した事実に基づいて判断することが大切です。
参考サイト
公的機関・公益法人の情報
- 公益財団法人 生命保険文化センター「手術したのに手術給付金が受け取れないのはなぜ?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/medical_security/418.html - 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm - 日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン」第8版
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=700&dispmid=909
